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登別出身の知里幸恵が著した「アイヌ神謡集」を韓国語に翻訳する作業を進めている詩人の港敦子さん(東京在住)が6日、幸恵の古里・登別を訪れ、知里森舎の横山むつみ代表宅に寄った。8日に旭川で開かれる生誕祭を前に訪れたもので、今回が2度目。これまでロシア語訳などはあるが、韓国語訳は初の試み。「記念館が建つ2010年までには何とか翻訳を完成、出版できれば」と意気込みを語っていた。

港さんは東京を拠点に自作の詩を朗読したり、雑誌への寄稿、詩集の出版などを手掛けている。今年7月に東京で開かれる日韓文学交流「詩の祝祭」の発起人の1人で、韓国でもこれまでに詩の朗読を行っている。

 幸恵生誕100年記念として出版された「知里幸恵『アイヌ神謡集』への道」を読み、「アイヌ神謡集」への興味が強まったが、「これがどう韓国で受け入れられるだろうか。翻訳を通してアピールできれば」という強い意欲に芽生えた。「アイヌ神謡集」はこれまで、フランス語、英語、ロシア語などに翻訳されているが、韓国語訳がなかったことも後押し。今年2月に1度登別を訪問し横山さんと会い、翻訳作業を幸恵の墓に報告した。

 今回は旭川の生誕祭でアイヌ神謡集に収録された「ホテナオ」を朗詠するが、それを前に立ち寄ったもので、「チャンスをもらった」と喜びを語る。

 「アイヌ神謡集」の翻訳は、既に序文が出来、韓国で披露。第1話も下訳が終わった段階だ。収録13編すべてを翻訳し、随時発表した上で、最終的に1冊にまとめたい意向で、2010年の記念館オープンまでには間に合わせるつもりだ。

 「言葉の影響力は大きいが、カムイ、イナウといった言葉をどう置き換えるか。国が違えば考え方、宗教観なども違う。民族の生活、微妙な精神世界をどう伝えるか。詩なので、ただの直訳ではなく、言葉のリズム、面白いぞ、と思わせる言葉の選び方をしないといけない。その橋渡し役をやるわけで、すごく責任がある。大変だが、やりがいがある」と意欲を膨らませる。

 「今までは詩をつくって朗読してきたが、詩は読むものではなく、聞いて話すもの。ユカラ(ユーカラ)もそう。韓国では詩が生活に根ざしている。アイヌ語と韓国語は発想が似ており、ユカラは韓国の人にも受け入れられるはず」と自信を見せている。

 港さんは、横山さんと懇談した後、幸恵の墓に花をささげたが、同行した横山さんは「これまでもフランス語などに翻訳されているが、新たに韓国の人にも知ってもらえることは、うれしい限り。完成が楽しみです」と喜んでいる。

【室蘭民報より】

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